株式会社douzo代表取締役の上田です。よろしくお願いします。douzoは「Social commerce and travel platform for goods」、つまり国際間の購入代行プラットフォームを展開しています。

現在のマーケットは日本とタイです。タイのお客様（ショッパー）からの「日本のこんな商品が欲しい」というリクエストをdouzoのプラットフォーム上に表示し、日本からタイに行く旅行者（トラベラー）が買って持っていき、そこに報酬が支払われるというサービスの流れになっています。

世界の越境EC取引高や世界の観光人口は年々増加の一途を辿っていることから、douzoのポテンシャルユーザーが増えているのは自明です。実際に先駆者もおり、Founders Fundが出資しているGrabrはサンフランシスコを起点に南米に物を運ぶビジネスを展開しています。また東南アジアだけでも恐らく100社程は同じような購入代行プラットフォームがあるはずです。

ただ、まだ1社も成功していません。面白くないし、流行っていない。私の仮説ですがその理由は、どのプロダクトも購入者・ショッパー目線でサービスを作っているからです。しかしC2Cサービスで本当に大事なのは遊休資産の売り手側。つまり今回のサービスで言うとトラベラー側に寄り添ったサービスを作ることです。

一般的な購入代行モデルを使うユーザーの利用目的は、お金を稼ぐことです。しかしそれに対しては「若干、罪悪感がある」との感想も聞かれます。この感想がある限りおそらくサービスは成長せず、リピートもしない、ユーザーが増えないという状況に陥ると思います。だったらdouzoはその真逆を行き、利用目的としてお金以外の価値観を与えます。サービスを使って幸福感を得られるサービスができたら面白いと思いませんか？ これが社会貢献型の購入代行サービスです。

「旅行ついでにソーシャルグッド」がdouzoのキーワード。お金を稼ぐための手段ではなく、旅をする目的やきっかけを作るサービスです。私は性善説を信じていて、誰しも誰かのために何かをしたいという貢献欲を持っていると考えています。でも行動しないのは何かを失いたくない、損をしたくないからだとも思います。しかし旅行の移動という遊休資産を活用して誰かの幸せや夢を実現できたらいいと思いませんか？ douzoがこれを実現します。

douzoの利用方法はまずショッパー側に「なぜその商品が欲しいの？」と聞き、ショッパーのストーリーを明確化します。それに共感したトラベラーがその商品を買って持って行くという流れです。マズローの5段階欲求モデルで見たとき、一般的な購入代行は下層2つの生理的欲求・安全欲求を、douzoは上層3つの社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求を満たすようなサービスだと捉えています。

2019年10月からサービス展開しており、2020年2月はコロナショックでダメージを受けているものの、それまで月次のトラクションは伸び続けており、オーダー単価や手数料単価も増加傾向です。注目いただきたいのは平均注文回数が月次で伸びている点で、つまり離脱する人が減っている状況を作れています。ユニットエコノミクスを見る限り、すでにショッパー側のビジネスとしては成立していると言えるでしょう。

今後は流通量を増やしていき、次にtoBへの供給、toBからの供給を取り入れて日本とタイを制覇します。そしてフィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアと各国に展開予定です。

douzoはショッパーとトラベラーそれぞれの体験価値を最大化する形で、プラットフォームを構築していこうと考えています。現在トラベラーには現金で報酬を渡していますが、今後は旅先でのツアーや航空券、ホテル等を提供していく予定です。このためのアライアンス組成にも動いています。

またdouzoは、資本集約型の配送では実現できない「深いニッチ」な商品の供給もできますし、その国では売っていない物すらもユーザーがリクエストすることができることから、各地域における「リアルな物の需要」を収集することができることもサービスの強みになります。

これらのデータの質を利用してデータドリブンなマネタイズもしていきます。よろしくお願いします。