ABOUTピッチ概要
「保険の請求もれをなくす」をミッションに掲げる株式会社IBの井藤です。よろしくお願いします。
2024年の日本は、元日の大きな災害から始まりました。家が倒壊したり、避難で長期間家に戻れなくなった場合、手元に保険証券はありません。保険に加入していた本人がお亡くなりになった、請求できる状態ではなくなった場合には、代わりに家族が保険を請求する必要があります。しかし、家族の保険証券がどこにあるかご存知ないという方は少なくないのではないでしょうか。ちなみに私は、かつて親の火災保険がどこに保管されていたか知りませんでした。知らない間に新たな保険に加入していたら、気付くきっかけはありません。逆も同じです。私は10個ほどの保険に加入していますが、家族には1つも教えていませんでした。もし私に万が一のことがあったら家族は大変です。家族に迷惑をかけないようにと思って入った保険で、家族に迷惑をかけることになってしまいます。IBが開発しているのは、そんな事態に陥らないようにするための保険管理アプリ「保険簿」です。
保険簿でできることは大きく3つあります。1つ目は保険の一括管理です。保険関連書類をアップロードするだけで自動で保険内容をデータ化。生命保険や損害保険だけではなく、少額短期保険や共済など、あらゆる保険に対応しています。2つ目が家族共有です。コードを送るだけでリアルタイムで保険内容を共有でき、わざわざ「新しい保険に入ったよ」なんて伝える必要はありません。3つ目は請求可能性をレコメンドする請求診断機能です。例えば「(被保険者が)他人に怪我をさせられた」といった場合に使える可能性がある医療保険や傷害保険の契約をレコメンドし「相手方と交渉するための自動車保険や火災保険に付いている弁護士特約が使えるかもしれない」といったこともお知らせします。保険簿は保険会社の人でも気付くことが難しいような約款まで保険内容を読み込み、必要事項をピックアップするのです。
IBが目指しているのは、保険の管理や手続きを一元化・自動化すること。家族が亡くなったり災害が起きたりと心身の辛いときに、難しい調べ物や手続きをしなくてもすぐに安心を感じられる社会を目指しています。そのためには全ての保険会社との連携が重要で、そのために保険の販売はせず、これまで中立の立ち位置を徹底してきました。
保険の販売はしませんが、マネタイズは保険の価値を届ける責務を負う保険会社から実施しています。というのも、保険各社はこれまでも、請求漏れがないように被保険者に情報を提供したり、手続きをスムーズにしたりしようとしてきました。その中には4桁億円かけてデジタル化を進めている会社もあります。にもかかわらず、某大手保険会社のマイページのMAUは0.01%以下と、ほとんど使われていません。その原因は、国民一人当たり平均6件以上も保険に加入しているにもかかわらず、保険に関するアクションの入口がバラバラなことにあります。このバラバラになっている保険アクションの入口を業界で協力して統一することこそが、保険簿の役割です。その代わり、パートナーとなる保険会社には、よりリッチな加入者接点の導線を提供していきます。
ところで、お隣の銀行や証券業界では、業界団体のトップダウンによりAPIを開放することで、イノベーションの土台ができつつあります。しかし保険業界、特に生命保険協会や損害保険協会、かんぽ生命や共済といった各プレイヤーに横串を通した土台作りは今後も難しいでしょう。そんな中IBは、ビジョンに賛同してくれる会社を一社ずつ獲得し、保険簿を業界のデファクトスタンダードとすることで、これを成し遂げようとしています。
保険簿は、ユーザーが増えれば保険会社が増え、保険会社が保険簿を案内してまたユーザーが増えるという循環に入りつつあります。日本国内の保険契約は約4億件、事業費は9兆円超。そのすべての加入者にアプローチし得る仕組みは他にありません。保険簿を業界のデファクトスタンダードとしていきます。以上です、ありがとうございました。