ABOUTピッチ概要
以下はMonthly Pitch当日の、スタートアップによるピッチのダイジェストです。
「デジタル技術で食品製造をより柔軟に」をミッションに掲げるフードテックスタートアップByte Bitesの若杉です。よろしくお願いします。
私は大学・大学院での研究を含め、約10年間3Dプリンタに関わってきました。そうした中、食という領域に3Dフードプリンタを用いれば新しい価値を提供し、課題が解決できると思い、Byte Bitesを創業しています。
Byte Bitesが取り組んでいるのは食品製造の課題解決です。現在、食品メーカーの商品試作はほとんどが手作りで行われており、その結果、開発・人的コストが嵩(かさ)み、リードタイムも長くなってしまっています。ひとつの商品を量産しようとすると、生産ラインを構築するのに数億〜数十億円という莫大な費用がかかるため、色んな商品をポンポンと展開するわけにもいきません。
また従来の製造方法では、手作業による試作をした次の段階が突然大量量産になってしまうため、開発途中でPDCAを回しながら商品を改善することが難しくなっています。短期間での市場投入も困難です。Byte Bitesではこうした課題を3Dフードプリンタを使って解決します。
3Dフードプリンタは、素材自体が食べ物となっている、素材を立体に直接成形できる機械です。特徴は3つ。多品種生産に適していること、手作業や型では作れない自由な成形ができること、レシピ自体がデータになっているためにどこででも再現できることです。こうした特徴を活かし、Byte Bitesは商品試作を効率化して中量生産を実現し、柔軟に商品群を増やしたり検証したりすることを目指しています。
現在Byte Bitesが具体的に提供しているサービスは、3Dフードプリンティングを用いた試作開発支援「POT Dev」です。企画からプロトタイプの開発までを食品会社と伴走し、ワンストップでサポート。素材開発やソフトウェア開発、商品のリリース方法まで支援しています。
例えば伊藤園さまとの事例では、ネコのような形をしている商品を作りました。お湯に入れると、桜ラテの味が抹茶ラテの味に変化するという、一風変わった固形飲料です。商品開発の高速化も実現しました。これ以外にも、大手の食品メーカーを中心として様々な企業とのプロジェクトが進行しています。
こうしたサービスを実現するため、社内には私を含めた3Dプリンタの専門家と、パティシエや大手の飲料メーカーで開発経験のあるメンバーが揃っています。
今後は、中量生産サービスの開発を進めていきます。Byte Bitesがハードウェア、ソフトウェア、素材をパッケージ化して、食品メーカーに導入して内製化を支援していく予定です。食品メーカーがこれを導入すれば、これまで商品を変えるごとに製造ラインの解体・再構築が必要だったものが、入力データを変えるだけで、すぐに別の商品を製造できるようになるでしょう。
ヨーロッパでは、大手パスタメーカーが3Dフードプリンタを製造に組み込んでいたりと、3Dフードプリンタに関する社会実装が進んでおり、今後は3Dフードプリンタを使った製造の一般化が進むと見込まれています。
こうした未来の食を一緒に目指していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひお話しさせてください。以上です。ありがとうございました。