ABOUTピッチ概要
以下はMonthly Pitch当日の、スタートアップによるピッチのダイジェストです。
Milk.株式会社の中矢と申します。
3人に1人、2人に1人。これはがんに罹患する方と、亡くなる方の割合です。ほとんどの場合、がんはステージ1で発見できれば完治できるものの、そのためには早期に正確な診断を行う必要があります。
そもそもがんの診断で行われているのは、顕微鏡下で患者から採取した細胞を見て判断する「目視検査」という手法です。しかし約200種類のがんを目視で区別できる病理専門医は、日本では2,700人、世界では10万人しかいません。そのため見落としや誤診が起きたり、1件の診断に2週間もかかったり、また細胞を取り出すという行為で死亡してしまう方もいるといった課題があります。
上図の右側はがん細胞ですが、正常な細胞(左側)と見分けがつかないという方がほとんどでしょう。病理専門医であってもその診断は難しく、カラーアトラスと呼ばれる図鑑を参照しながら、がんか否かを判別しています。
Milk.はハイパースペクトル技術を用いることで、これらの課題を解決します。ハイパースペクトル技術は元々宇宙で使われていたもので、人工衛星に搭載され、地上を撮影して鉱物探査をしたり、軍事用途で利用されてきた技術です。最大の特徴はその色分解能にあります。人の目は三原色を捉えますが、ハイパースペクトルカメラは原色を141まで拡大し、色を識別できるのです。
ハイパースペクトルカメラで細胞を撮影すると、1ピクセル当たりの波形データが得られます。これをAIに学習させ、様々ながんを識別できるようにしました。この技術は特許も取得。カメラで撮影するだけなので業務効率も向上します。
先ほどの画像でも、ハイパースペクトルカメラで撮影・解析すれば、細胞一つひとつをがんか否かを判断可能です。
Milk.ではこの技術を応用し、カメラで撮影した画像を解析し、その結果をお返しするサービス「ANSWER」を開発しました。これにより、がんのスクリーニング精度が向上し、診断時間は最短でわずか3分。侵襲性に課題は残っていますが、将来的には血液や唾液・尿などの体液からも診断できる可能性があります。
Milk.が目指しているのは、5年生存率が8.5%と非常に低い膵がんの早期発見です。その主な原因は、早期発見が難しいことにあります。自覚症状もなく、正常細胞とがん細胞が非常に似ていて区別もできないので、発見が難しいのです。しかし近年は内視鏡から膵液を取り出すという新しい非侵襲的な方法が登場し、ここにANSWERを用いれば、膵がんの早期発見が可能になると見込んでいます。今回は詳細を割愛しますが、ANSWERは原発不明がんや前がん病変の検知にも利用可能です。
ビジネスモデルです。CTやMRIのように病院に導入し、患者さんに追加の検査料をお支払いいただき、その収益をレベニューシェアします。膵がんの専門病理医によるサポートも受けており、また、現地法人を設立した台湾を皮切りに、海外展開も目指す考えです。
まだ見ぬ未来をつくるInvisible Worldです。ありがとうございました。